11月のみんなの日、教養講座は「日本の陶磁器再発見」でした。講師は谷岡清さん。日経新聞で「美の美」欄の編集に携わり、今は美術評論家として幅広い活動をしておられます。長い経歴のなかで取りためた数々の美しいスライドを映しながらの講演です。
お話は、「世界で一番古い土器が見つかったのは、エジプト・メソポタミア・インダス・中国のどこだと思いますか。それとも別のところでしょうか?」という質問から始まりました。現代の放射性炭素による年代測定で一番古かったのは、何と日本の縄文式草創期の土器。9~12千年前に作られ、福岡県から出土したものだそうです。そこから始まる日本陶磁器の長い歴史、その中における世界の陶磁器愛好者と陶工たちとのかかわりについて、ちょっと他では聞けないレクチャーを聞くことができました。
世界的にみてもユニークな造形の才能をあらわした縄文式土器の作り手たち、中国の名品からインスピレーションを受けつつ技術を進化させていった奈良時代から室町時代の陶工たち、朝鮮半島の名もない雑器に独自の美を見出した茶人たち、東洋の磁器の美しさに心を奪われたヨーロッパの王侯たちの需要にこたえながら技を磨いていった伊万里・有田の工人たち・・・ 日本は陶磁器の国であると言われていますが、そのわけを改めて知ることができた気がします。