今週の1冊『生贄探し』/図書館 お知らせ・近況 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

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図書館 お知らせ・近況

今週の1冊『生贄探し』

2024年6月10日

2024年6月10

『生贄探し』 中野信子、ヤマザキマリ 講談社+α新書脳科学者の中野信子さんと、漫画家のヤマザキマリさんの対談を含む1冊です。出版年は2021年。ちょうどコロナ禍の頃で、内容もコロナウイルス感染症が蔓延する中、日本で、またはイタリアでどのような動きがあったのかが書かれており、貴重な記録の書にもなっています。タイトルの『生贄探し』とは、中野さんによれば、この社会集団を一人の人ととらえてみると、いつも異物を探して、それを排除しようとしている。つまりいつも生贄を探している、ということだそう。たしかに、特にネット上、SNS上ではその匿名性がもつ狂暴な言葉が飛び交い、日々炎上騒ぎが起こっています。これを、海外での生活の長いヤマザキさんは、ツイッター(現X)がフェイスブックよりも流行る日本と、そうではない海外を比較し、そもそも小さい頃から自分の意見を求められ、それらを言語化して人前でしゃべるという経験を積んできている国では、匿名で人格を変えて何かを言うというツイッターの文化はあまりはやらないのではないか、と分析しています。中野さんは、正義を振りかざして狂暴な言葉を投げるネット上の人たちについて、「正義の快さにあっという間に人格を乗っ取られてしまう。本当の知性は、自分の正義や知性が独り善がりのものになっていないかどうかを、まず疑うところにこそ、あると思うのですが」(同書p129)との指摘をしています。この文章のみならず、全編通して自分の頭で考えることを励まし続けた羽仁もと子を思い出させる内容でした

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