今週の1冊『春の数え方』/図書館 お知らせ・近況 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

今週の1冊『春の数え方』/図書館 お知らせ・近況 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

図書館 お知らせ・近況

今週の1冊『春の数え方』

2024年3月4日

2024年3月4日
『春の数え方』 日高敏孝著 新潮文庫
 学園の中で、今年初めてのヒキガエルを見たのは2月13日、一斉に池に集まってきたのは、一気に暖かくなった15日の夕暮れ。私の観察ではいつも3月に入ってから集まって来ていたので、ずいぶん早いが大丈夫だろうか、この春はいつもより寒暖差が大きい気がするし、と心配していたが、池をのぞくと無事に卵が産みつけられていた。
 ロウバイ、梅、セツブンソウ、木々の芽、混群を解いてそれぞれに巣をつくり始める小鳥たち、私はそんなもので春を数えているように思う。
 が、この本では春の数え方にちゃんと方程式がある。虫たちは三寒四温の季節の中で、温度を積算しているというのだ。著者は「ソロモンの指環」の訳者で、多くのエッセイを書いている科学者。この本も動物行動学者として自然や環境破壊について深い考察を交えたエッセイが並ぶ。そして動物の行動に意味と目的があって、目の前に現れている自然現象をよく見て、考えることの大切さを説いているように思う。だが、表題と同じように全体の表現が柔らかい。装丁も挿絵も絵本のようにかわいらしい。根本を考えながらも、私たちの暮らしや身の回りの自然を、愛して大切にすることを呼びかけられているようだ。
 出版されたのは平成17年。その時点から見ても、もうすでに異常気象は進んでいると感じる。それでも一つずつ季節の徴を探しながら過ごしていく私たちの暮らしは変わらないのではないだろうか。その大切さはより増してるのかもしれない。暖かい日々を待ちながら、手に取ってみてください。

 

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