2023 夏休み すいせん図書  №1 /図書館 お知らせ・近況 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

2023 夏休み すいせん図書  №1 /図書館 お知らせ・近況 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

図書館 お知らせ・近況

2023 夏休み すいせん図書  №1 

2023年7月24日

今年も 夏休みすいせん図書 をお届けします。
各部の先生方、各部図書の係、学部図書グループ学生、図書館スタッフから寄せられた原稿を、毎週月曜日に掲載します。
掲載した図書は、ほとんど学園の図書館に所蔵しています。
お住いの地域の図書館でも探してみてください。

 


【すいせん図書 2023.7.24】

全学教諭 TLP G先生
『学校では教えてくれない宗教の授業』 ひろさちや 著 PHP文庫

「日本人は宗教音痴です」と始まる本書は、仏教の専門家によるユダヤ教・イスラム教・キリスト教にまで広がる宗教の手引きです。「ひろさちや」とは、ギリシア語で愛を意味するフィロと、サンスクリット語で真理を愛するサティヤを合わせた名前です。軽快な文章で各宗教の紹介著作が多数ありますが、まずは文庫本の本書から、どうぞ。


『カフーを待ちわびて』 原田マハ 著  宝島社
第一回「日本ラブストーリー」大賞作品の本書は、沖縄のある島を舞台にした優しく温かい展開で、人を愛する事のひたむきさ・愛の育て方を不器用な私たちに教えてくれます。読後に嬉しい涙が出ますよ、きっと。

 

『太陽の棘』 原田マハ 著  文春文庫
太平洋戦争に日本で唯一戦場となった沖縄は、その後長く「アメリカ」でした。米軍軍医としてやってきたアートが大好きな主人公は、画家たちの集落を見つけ彼らの作品に感動し交流を深め、やがて・・・。事実を基にした本書は、歴史に埋もれた社会の一面を通して「よく生きる」を語っています。

 

数学科 H先生
『計算しない数学』  根上生也 著 青春出版社
「数学が嫌いだ!」という人は、おそらくとても多いと思います。そんな人に理由を聞くと、「計算が嫌だから」と返ってくることが、とっても多いです。この本は”数学嫌い”の人に見てもらいたいものです。ひらめき1つで計算しなくてもよくなる!そんな魔法の本です。

 

『きのうの影踏み』  辻村深月 著 角川文庫
「長い文章は集中して読めないから、本はちょっと・・・」と思っている人はとても多いと思います。」そんな人にオススメしたいのが短編小説です。短い文章で完結するので、集中力がいらないし、長くないから人物を忘れたり、ストーリーを忘れたりしない。そんな中でもミステリは多くを語れないからこそ不気味さを孕む・・・。そんな短編だからこその良さが色濃く出てると思います。

技術科 M先生
『その島のひとたちは、ひとの話をきかない』  森川すいめい 著 青土社
「今、即、助ける」
「できることは助ける。できないことは相談する」
「助けっぱなし、助けられっぱなし」
精神科医が自殺希少地域に行って見たこと、感じたことは何か…
すべての人が居心地の良さを感じられる社会とは、生きやすさとは何か、考えるヒントがたくさん詰まっています!

社会科 T.N.先生
『資本主義の克服―『共有論』で社会を変える―』 金子勝 著  集英社新書
 金子勝氏が慶応経済学部の教授であるだけに、本書は大学生、しかも題名を見てひっかかる人にお勧めしたい。1990年代が「失われた10年」とされたことに心の疼きを感じ、現在は既に「失われた20年」どころか「失われた40年」になるかもしれないということに憤懣を噛みしめる人は、その疼きに耐えて本書を読み抜くことを勧める。なぜなら、現在の私たちの閉塞感の正体を本書は明確に「新自由主義の失敗」と「無責任体制」にあると指摘しているからである。現在私たちを何重にも取り巻いている偽善を、数値に基づいて切り裂き、著者はこの閉塞の正体を「第3次産業革命」とも言える「大転換期」だからと説明するのである。
 ただ、この閉塞した時代を切り開くのは容易いことではない。まず、資本主義が、「非線形的変化」とされる危機への対応のなかで転換し続けきたことを理解しなくてはならない。著者は「資本主義の限界」を、危機的であるだけに制度・ルールを転換しなくてはならない時であると解釈する。具体的には市場原理が、どのように社会を変容させてきたかを理解しなくてはならない。「自由と平等」を実現するためのセーフティネットを機能させるために重要だと著者が主張するのが「共有論」である。そして、現在の「集中メインフレーム型」から「地域分散ネットワーク型」の社会が求められるとしている。そのような、まさに混沌として時代であればこそ「社会統合力」が求められるが、果たして私たちには、そのような力が残っているであろうか。本書の問いかけるものは重い。

 
 

カテゴリー

月別アーカイブ