12月19日 自由学園に4代目となる「新木工教室」が竣工/お知らせ - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

12月19日 自由学園に4代目となる「新木工教室」が竣工/お知らせ - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

お知らせ

12月19日 自由学園に4代目となる「新木工教室」が竣工

2015年12月15日

自由学園では、旧木工所を移転し、このほど「新木工教室」を新築いたしました。2015年12月19日に竣工式を迎えます。
「新木工教室」は、これまで長年続けてきている男子部中等科新入生の机・椅子の製作等の木工をはじめ、全学的な「木」を通した総合的な学びの充実のために建てられました。

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学園のグラウンド奥(前パン工場の跡地)に新築された新木工教室

新木工教室完成の感謝と、これからの活動を話す高等科3年生の委員長兼木工リーダー

竣工式で新木工教室完成の感謝と、既に始まりだした木工の活動を話す男子部高等科3年生の委員長兼木工リーダー

竣工式は、設計や建築に携わって下さった方々、支援してくださった方々、父母や卒業生など学園関係者らをお招きして、午後の日差しが柔らかく入り、木の床の香りのする新しい木工教室内で開かれました。新しい工作機械の見学のほか、これまでの木工教室の歴史の展示などをご覧頂きました。

木工など工作用の機械類の入った建物は、今回で4代目となります。
1代目 「工作室」 1938年に建築。(現在の記念学寮の場所)
2代目 「木工所」 1950年に学内に建築。(現在の記念講堂の場所)
3代目 「木工所」 1980年に男子部体操館脇に建築。
4代目 「新木工教室」 2015年12月竣工。
3代目の木工所は、35年にわたって代々の生徒・学生が利用してきましたが、いよいよ老朽化してきたため改築が望まれていました。このたび新築された4代目の建物は、「新木工教室」と名称も新たになり、工作機械のある加工室だけでなく、座学や作業をする教室もできました。

この「新木工教室」は、自由学園創立90周年事業の一つとして、在校生父母、卒業生はじめ、多くの方々のご協力、ご支援により建てられ、電動工作機械の入れ替えもすることができました。ご協力頂いた皆様のお力添えに改めて感謝申し上げます。

クラスメイトと協力して各自の机を制作。愛着ある机で学ぶ男子部中等科1年生。

クラスメイトと協力して各自の机を制作。愛着ある机で学ぶ男子部中等科1年生。

■自由学園の「木工」について
自由学園は、1921年の創立当初から、社会に役立つ実力と心身のバランスの取れた人が育つためには、教室での学習のみを勉強とするのではなく、本物に接することや、日々の生活の中で自分たちのことは出来るだけ生徒たち自身がする実体験の中に、沢山の新しい発見や学びがあると考えてきました。

木工もその一つで、特に男子部(中等科・高等科)では、単に自分たちの使う物を作るだけでなく、正確に物を作りあげることは、「技術」について学ぶよい機会であると考え、毎年新入生は、自分が教室で使う机と椅子を作ることを続けてきています。
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はじめに、両刃のこぎりや、かんなの扱い、釘の打ち方などの基本技術を学び、その後机・椅子の製作に取り組みます。
男子部は、食堂などのベンチも、代々の生徒が制作してきたものです。
最高学部(大学部)では、東久留米市の依頼を受けて、公園用のベンチのデザインと制作をしました。

新木工教室で使う作業台と椅子は、男子部の生徒たちが手づくりして揃える予定です。

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新木工教室内

■本格的な電動工作機械も導入・入れ替え
新木工教室(218.45㎡)には、大きく分けて二部屋あります。
1.加工室…機械類が設置してあり、教職員の下で作業をする部屋。道具類や材料も管理。
2.教室兼作業室…木工品の組み立てや仕上げなどをする広いスペースで、道具類を研ぐために流しも設置されている。

室内は、主に作業をすることを中心にしつらえてあるため、決して贅沢ではなく、むしろ質素な作りですが、これから生徒が壁の一部のペンキ塗りをし、また、教室内で使用する机や椅子、作業台を男子部生が製作するなど、生徒・学生たちの手も加わって、木工教室内を整えて完成させていく予定です。
男子部が「自治区域」として主に管理して使い、最高学部(大学部)も使いますが、今後は学内の他の部も活用していけるよう計画中です。

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工作機械の入った「加工室」。

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加工室内には材木や道具の置き場がある。

電動工作機械は、専門的な資格を持つ教職員の指導の下で、男子部内の木工グループの高等科3年生のリーダーを中心に、生徒たちも扱います。専門学校や工業高校でない普通校で、実用できるものを生徒全員が木工で制作していることは、自由学園男子部の特徴の一つです。
主な大型工作機械(加工室内)
横切り盤 軸傾斜小型万能横切盤 バンドソー 手押し鉋(かんな)盤 自動鉋盤 テーブル傾斜昇降盤 角鑿盤 ルーター ビスケットジョインター ボール盤 コンプレッサー等

■「新木工教室」用の作業台と椅子は男子部生が制作予定
3学期に中等科1年~高等科3年の担当の生徒が、家具製作の専門家の指導の下で、新木工教室で使う作業台と椅子を制作する予定です。
下の写真は、昨年、男子部中等科1年生が教室で使うために作った机と椅子です。

新木工教室のために生徒が製作する机と椅子

代々の男子部生が名栗植林地で育てた杉を乾燥させ、制作する作業台の脚に使う。

自由学園の名栗植林地で、代々の男子部生がで育てた杉を乾燥中。新木工教室の作業台の脚に使う予定です。

 

■自由学園の「木」につながる学び」
自由学園では、木工は、それだけを特化して学んでいるのではなく、下記のような学びの一環として位置づけられています。

キャンパスの木々からの学びキャンパス(仮)
自由学園は、10万㎡のキャンパス内に約4,000本の木があり、季節ごとに変化する樹々の美しさ・自然を身近に感じられる環境です。 新緑、紅葉と、その時々の美術の題材となるほか、落ち葉掃き、樹木の剪定等、手入れなども日常的にして、生徒・学生が年齢に応じた役割でキャンパスを維持しています。
女子部(中等科・高等科)生徒は、毎日学年交代で昼食つくりをしていますが、ご飯炊きは、あえて今も学内から出た薪を使って炊いています。収穫した梅の実は、梅干や梅ジャム等々に加工して各部の食卓に上ります。教室での学習が、さまざまな体験や活動に活かされていきます。落ち葉は堆肥にして畑に戻し、自然・環境の循環について体験を通して学んでいます。

植 林
埼玉県旧名栗村(現飯能市)にある植林地(学校林)では、1950年から活動を始めて苗木を植え、代々の男子部高等科生が泊りがけで手入れの作業をし、木を育てることも続けています。新木工教室のために使う作業台の脚は、名栗の植林地から出た間伐材を角材にして用います。なお、国際協力として、ネパールでは最高学部生が植林活動をしています。
木を育てること、それが材木となって、木工により人の生活を豊かにしていることや、自然のものの材質感などを体験により学んでいます。自然の厳しさやサイクルも知り、総合的な環境教育ともなっています。

自由学園の各部生徒が木工等、木を材料にして制作しているもの
技術を学ぶ目的のほかに、木材を用いて工芸や美術作品をつくることもあります。
下記のように、各年齢に応じて、木を使った製作をしています。

幼児生活団幼稚園 板・木片で作る飾り、釘打ちをして好きな形を作る
初等部  木片で作る美術作品 椅子にもなる箱作り
女子部  食堂のテーブル、椅子の補修、塗装 糸鋸等を使って作成する美術作品
男子部  教室で使う机と椅子 ベンチ 木製スプーン・皿など 子どもが使える遊具の製作(特別なイベントで)
最高学部 市内公園に設置するベンチの設計と制作 幼児生活団幼稚園で使う遊具の製作

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