1 梅雨空をイメージする
初等部では透明水彩絵の具を使っています。透明水彩で表現できる技法の一つに重色があります。パレットの上で絵の具を混ぜるのではなく、紙の上で溶いた絵の具を重ねて色をつくりだすのです。 まず、一つ色を選び、その絵の具を水で溶いて画用紙に塗ります。しばらくして絵の具が乾いてから別の色を塗り重ねると下の色が透け、透明感のあるみずみずしい混色が可能となります。この日の授業では、重色の過程で偶然できるにじみの効果なども活かしつつ一人ひとりがイメージする「梅雨空」の表現に挑戦しました。
2 梅雨空に雨を降らせる
翌週の授業では、子どもたちに前回描いた梅雨空の画用紙と白い紙を一枚だけ渡しました。白い紙を切って梅雨空の画用紙に雨を降らせるためです。
雨の降り方は「小雨」「霧雨」のように静かに降る雨から「大雨」「鉄砲雨」のような強い雨までさまざまです。音で言うと「シトシト」「ポツポツ」「ザァ、ザァ」…。雨の音や雨の記憶とともに梅雨空の画用紙から着想した雨をかたちにしていきます。
この日は実際に雨が降っていましたので、急遽、地階の美術室ではなく空がよく見える2階の4年教室にて授業を行いました。ベランダに出て、手を伸ばして雨に触れたり、ぼーっと雨を眺めたり、雨音に耳を傾けたり、目の前の雨を感じながら、梅雨空の画用紙に雨を降らせました。こうして生まれた梅雨空の絵、現在、第3校舎の入り口に飾られています。