1年生対象の春の「飯能・名栗フィールド活動」が行われる/学生生活・学外活動 - 自由学園 最高学部(大学部)/ 最先端の大学教育

1年生対象の春の「飯能・名栗フィールド活動」が行われる/学生生活・学外活動 - 最先端の大学教育【自由学園 最高学部(大学部)】

学生生活・学外活動

1年生対象の春の「飯能・名栗フィールド活動」が行われる

2024年5月10日

2024年度も、最高学部1年生の飯能・名栗フィールド活動が行われました。自由学園には、那須農場をはじめ飯能・名栗フィールド(名栗植林地・新名栗フィールド)や海山植林地などのキャンパス・フィールドがありますが、2021年12月からの新型コロナウイルスの感染拡大により、以前のような生徒・学生のフィールドでの活動が行えなくなりました。そのような状況下、最高学部では2022年度から、学部1、2年生対象の飯能・名栗フィールド活動を開始しました。これまでの経過はこちら

1年生は、まずは「フィールドを知ること」を目的にかつて男子部高等科生が植林・育林を行ってきた埼玉県飯能市の正丸峠付近に位置する自由学園名栗植林地と、上名栗にある古民家を訪れ、2年生はその経験の上に名栗地域の産業や自然を学ぶプログラムとなっています。開始から2年たち、この飯能・名栗フィールドでの活動プログラムも毎年ブラッシュアップしながら、前期課程の学修の中に定着して来ました。更に、この経験から後期課程での研究活動を展開する学生も出てきました。
今年度は、その1人である4年生の宮代雅章さんが、学部1年生に事前レクチャーを行い、当日もTAとして参加して現地での解説を担当しました。

 

74年目の名栗植林地を訪れた最高学部1年生

 


4月28日(日)、気持ちのよい快晴の中、8時30分に西武秩父線・正丸駅にて集合し、約1時間かけ徒歩で正丸峠に上りました。峠にて林内に入る装備を整えた後、男子部生が植林し約70年生となった見事なスギ、ヒノキの間を縫って整備されたおよそ900mの森林作業道を歩きながら、地質や植物、林内に設置された気象観測機器などについて、宮代さんからの解説を聞きました。 作業道の終点では、名栗植林地訪問の記念として、環境文化創造センターが発行している「自由学園キャンパスカード(名栗植林地)」を受け取りました。

 

正丸駅から正丸峠へ向けて出発

 

気象観測機器の説明を聞く

 

名栗植林地内の森林作業道を歩く

 

散策の後は、正丸峠の奥村茶屋にて用意していただいたお弁当(名物:正丸丼)を持って、車で上名栗の古民家へ移動しました。ここは男子部19回生の柏木正之さん(元名栗村村長、大松閣代表取締役会長)が代表を務める(一社)名栗すこやか村が管理するもので、古民家の背後の山が新名栗フィールドの1ノ山となっておりコロナ禍の前までは、最高学部の男子学生が育林労働を行っていました。
古民家でお弁当をいただいた後、柏木さんからご自身の歩みや学園での学び、名栗地域の現状と課題などについてのお話を伺いました。柏木さんのお話を通じて、林業の後継者問題、少子高齢化による地域の過疎化など、社会の課題が自分たちのごく身近なところにあることを再認識する機会となりました。15時前に解散し、路線バスでそれぞれ帰路に着きました。
今回参加した1年生は、最高学部進学までに一度も飯能・名栗地域に行ったことがない学生も多く、この活動を通し全員が実際にフィールドを訪れるという経験ができました。 

 

正丸峠・奥村茶屋の名物「正丸丼」のお弁当

 

古民家で柏木正之さんのお話を伺う

 

参加した学生からは、「男子部の時には行けなかったが、今回名栗に行けて植林地がどのような感じかわかってよかった」「昔の作業道が一部残っていたが、あのような細い道を使って植林活動をしていたかつての男子部生には尊敬しかないと思った」「地質の様子が変化して行くのを実際に見たり、サワラとヒノキの違いを勉強したり、動物の足跡を見たりと、名栗の自然や風景が印象に残った」「手入れが行われている山とそうでない山の違いを実際に見る事ができた」などの声がありました。
また今後の展望として、「せっかく男子部生が植林してきた木をどうにかして活かせないかと思った。また、共学化後に名栗フィールドをどのように使えるかも考えたい」「この活動を通して経験したことや、2050年までに全国の4割の自治体が消滅する可能性があるという最近のニュースから、自分たちに出来ることは何かを考えさせられた」「人が手入れをすることで保たれている環境があるということを再認識した」といった声もあり、多くの学生がまた機会があれば名栗に行ってみたいと語っていました。

今後、組の時間を使って活動の振り返りを行う予定です。今回の活動の経験と学部の様々な講義を関連させながら、学園のキャンパス・フィールドを存分に活かして、最高学部の実習や研究が更に発展していくことが期待されます。

 

用意した「奥むさし源流 飯能水」

 

なお、今回の非常用の飲料水(団体装備)には、地元の「名栗の森の奥むさし源流 飯能水」を用意しました。荒川水系の水源地域でもある名栗(飯能)地域の水のおいしさをPRするために、(一社)奥むさし飯能観光協会から発売されています。こうしたボトルウォーターの販売は、地域の「ブランド化」の一手法として各地で試みられていることをも紹介し、その場で飲んでみる人もいれば、お土産に持ち帰る人もいました。

 

関連記事はこちら
(2024/4/28)1年生対象の飯能・名栗フィールド活動に向け4年生による事前レクチャー
(2024/5/10)【気象観測室】春の自由学園名栗植林地で活動
(2023/10/17)9月30日:2年生が飯能・名栗フィールド活動を行いました
(2023/5/14)学部1年生の飯能・名栗フィールド活動を学部3年生TAがサポート

 

文:小田 幸子(最高学部教員・環境文化創造センター次長)・写真:吉川 慎平(最高学部教員・環境文化創造センター長)

カテゴリー

月別アーカイブ