最高学部長のあいさつ - 自由学園 最高学部(大学部)/ 最先端の大学教育

最高学部長のあいさつ - 最先端の大学教育【自由学園 最高学部(大学部)】

大学部概要

最高学部長のあいさつ

最高学部長のあいさつ

自由学園最高学部の目指すもの「あなたは値(あたい)高く、貴い」イザヤ書43章4節

最高学部長 高橋和也

最高学部長
高橋 和也

自由学園最高学部は、キリスト教精神に根ざした人間教育を実践する高等教育機関です。一人ひとりが生涯を通じてその人らしくかけがえのない自分自身の人生を歩む力、そして同時に、より美しい世界を創りだすための志と実践力を培い磨くことを目指しています。

一人ひとりの歩みに応じた人間的成熟を支える教育は、人格的な交わりが可能となる少人数教育によってはじめて実現されます。最高学部は学生一人ひとりを世界にたった一人の存在として受け止め、その心の底の「願い」に共に耳を傾け、それぞれの成長や研究活動、進路選択を全教職員が丁寧に支えています。

最高学部の一日は、全学生・教員が交代でメッセージを述べる礼拝から始まります。任意参加による小さな集まりですが、聖書に学びつつ、それぞれが体験に根差した自分自身の言葉で思いを語り、生き方を見つめる大切な時間になっています。

また全学生が共働して大学生活の運営に携わり、コミュニティの一員としての責任や支え合いを経験し、共に生きることの意味を学びます。毎日の昼食は学生、教職員が大きな「家族」として一堂に会し食卓を囲みます。

10へクタールの4000本の樹々の手入れ、日々の清掃、食事後の食器洗いなどのコミュニティワークも学生自身の手で行われます。この根底には「自分たちが汚したところを自分たちで掃除すれば人間の中に階級は生まれない。自治は民主主義のもと」という建学の精神があります。

最高学部では、より美しい未来をつくる地球市民の一員として、現代社会の課題への多面的な視点を持つことが必要であると考えています。無知による個人的な「幸せ」の追求は、より大きな世界の「幸せ」につながらないためです。

そのため、主として前期2年は領域を横断するリベラルアーツの学びと協働的な実学を重視したフィールドワークを通じて自然観、社会観、世界観、歴史観を総合的に養うことを目指しています。そしてこれらが、「いかに生きるか」を導く人間観、人生観、未来観といった確かな価値観の土台となっていきます。

後期2年は各自が見出した問題意識を土台に、「領域横断型研究」「経営実践研究」2コースの5つのゼミのいずれかに所属し、専門性を深め研究を行い、論文作成に取り組みます。研究においても協働性を重視し、多く時間を注いだ研究が、その後の進路、生き方に繋がるものになっているところに最高学部の特長があります。研究成果は学外での学会発表においても評価を得ています。

2025年度には新たな取り組みとして、自ら学びをデザインし実践力を鍛える「共生共創プログラム」を開始します。

自由学園は、一切の既成の枠の制約を受けず真の人間教育を追求するという創立者羽仁吉一・もと子夫妻の志により、100年以上前の1921年に各種学校として出発しました。戦後、中高は文部省の認可を得ましたが、創立者は1949年の最高学部創設にあたって、「真に所信を生きる」との姿勢を守り、各種学校としての立場を貫きました。

少子化を背景に国の補助金が断たれ優れた大学の閉校が報じられていますが、真理の砦でもある大学は、どのような時代にあっても独立性を保ち、自分たちが行いたい教育を行える自由が守られていなければなりません。自由学園最高学部は建学の精神を受け継ぎ、これからも各種学校として独自の少人数教育を行っていく所存です。

このように最高学部を卒業しても大学卒業の資格は得られませんが、卒業生は多種多様な分野で活躍しています。近年はイノベーションを必要とする企業、コミュニケーション力が求められるコミュニティづくりの現場などでも卒業生の働きは評価され、また大学院を経て各種専門分野での研究領域で活躍する卒業生も増えています。(卒業生の生き方については『いきかた探訪記』と「自由学園100人の卒業生+」をご覧ください。)

未来の生き方の可能性を豊かに拓いていくためには、未知のものに対して開かれた心で学ぶことが必要です。最高学部では新たな出会いや発見が生まれる学びの環境が待っています。皆さんが、世界に関心を開き、じっくり丁寧に「価高く、貴い」自分自身を大切に育てていくことを願っています。私たち教職員も常に共に学び続けるものでありたいと思います。