私たち2年男子学生は12月2日~5日までの4日間、前期課程修了旅行として九州へ行った。
1日目は天安河原や高千穂峡で有名な宮崎県高千穂へ。天安河原は天照大神が岩戸にお隠れになった際、天地暗黒となり八百万の神がこの河原に集まり神議されたと伝えられる大洞窟だ。今年度、国文学や日本文学史の講義で日本神話を勉強していたこともあり、学生は熱心に見学していた。高千穂峡では、美しい柱状節理の切り立った崖に多くの詠嘆が聞かれた。夜は高千穂神社境内の神楽殿で高千穂神楽を見学した。ここでは三十三番の神楽の中から代表的な4番「手力雄の舞」「鈿女の舞」「戸取の舞」「御神体の舞」を見ることができた。
天安河原
天岩戸神社
高千穂峡
高千穂神社
2日目は大分県日田市の咸宜園へ。ここは江戸時代の儒学者で、教育者、漢詩人でもあった廣瀬淡窓が主催した私塾だ。「咸く宜し」(ことごとくよろし)とは、すべてのことがよろしいという意味で、淡窓は門下生一人ひとりの意思や個性を尊重する教育理念を塾名に込めたという。淡窓が詠んだ「休道の詩」は、男子部東天寮の寮歌でもあり、それが彫られた石碑も見物できた。その後、TSUTAYAが運営することで話題になった武雄市図書館へ。スターバックスが併設され、新刊本や雑誌を販売するコーナーもあるなど、従来とは異なる図書館だが、少子高齢化の進む地方公共団体が、公共サービスを維持する新しい例として、学生は興味津々だった。夜は卒業生の前田さん(男子部41回生)が経営する武雄温泉京都屋へ。創業100年を誇る旅館で温泉につかり、心身ともにリラックスした。前田さんと井田さん(男子部35回生)による卒業生講座は学生にとって将来を考える為の非常に良いきっかけになった。歓迎してくださった前田さんと、この為に駆けつけてくださった井田さんに感謝したい。
咸宜園
武雄の大楠
卒業生講座
卒業生と夕食
卒業生を囲んで
3日目は長崎へ移動し、平戸ザビエル記念教会見学の後、遠藤周作文学館へ。文学館が立地する長崎市外海地区は、隠れキリシタンの里としても知られており、遠藤文学の原点と目される小説「沈黙」の舞台となった場所である。かつて男子部高等科の国語の授業で勉強した小説だったこともあり、学生はそれぞれ熱心に見学した。
礼拝の様子
最終日は通称軍艦島で知られる端島の見学へ。かつて、端島炭鉱は良質な強粘炭が採れ、隣接する高島炭鉱とともに日本の近代化を支えてきた炭鉱の一つであった。しかし現在は無人島となり、建物は廃墟と化している。学生はガイドの説明を興味深く聞き、風景に見入っていた。その後、長崎平和記念公園と長崎原爆資料館へ見学し、それぞれ真剣に資料を見学した。
軍艦島
軍艦島
軍艦島遠景
今回の旅行は前期課程の修了にあたりふさわしいものであったと思う。全員で旅行を楽しみ、また勉強にも熱心に取り組むことができた。旅行でお世話になった各方面の方々に深く感謝したい。
文:岩重淳之介・廣瀬周(学部2年)
写真:咲花昭嗣(学部教師)