いよいよ美術工芸教育発表会を明日にむかえました．連日，高橋礼穂くん（4年）を中心に最高学部の学生がfacebookでも関連記事をアップしていますが，この最高学部近況報告欄でも直前の様子を紹介いたします．
最高学部の作品展示は学部棟1～2階で行われます．学部リーダー兼常務総リーダーの恩田将樹くん（2年）と岡田真実さん（2年）は次のように語ります．「最初は作品が少ないのではないかと心配していましたが，準備を進めていくうちにその心配は消えました．皆の作品が着々と仕上がってきていますし，4年間の積み重ねがどんどん表れています．学部生らしい展示になっています．日本画・油絵・デザイン・陶芸・染織といろいろ見せます．初等部や男子部・女子部とは違う大人らしさ，落ち着いた雰囲気を味わってください．また，私の作品もぜひご覧ください（恩田）」「皆が楽しんで作業しています．美術工芸展を通して一段と仲良くなることができた気がします．皆でひとつのことに取り組むよい機会をいただいたことに感謝しています．もともと持っていたものを出すきっかけになりました．私は日本画を出展します（岡田）」
学部リーダーの恩田くんと岡田さん，岡田さんの作品
会場は現在展示の真っ最中です．展示リーダーの吉田海くん（2年）は次のように語ります．「食堂を展示会場にしましたが，32台あった大テーブルは1台も部屋から外に出していません．積み上げてパネルで囲っています．それは美術工芸教育発表会終了翌日から通常生活に戻るのですが，スムーズに復帰するための工夫です．その他随所に見せる工夫をしています．また当日は立ってご案内をしている学生も，作品だと思って姿勢などにもご注目ください」
大テーブルを収納したパネルレイアウト，展示リーダーの吉田海くん
いくつかの作品について学部生に尋ねてみました．まずは2年生の平面Aの授業からの展示について山田華礼良さんが語ってくれました．「平面Aは日本画とデザインのどちらかを選択します．デザインでは好きな本の表紙を制作しました．かまゆまめ出版は受講生5人の頭文字です」
山田さんと平面Aのデザイン展示
美術の授業は平面A以外にも平面B（油絵），陶芸，染織，立体（木工），生活美術，基礎造形など多くの作品が出展されます．
作品をディスプレイする2年生
美術の授業だけではなく，その他の授業も多くの作品を出展します．例えば「羊皮紙に虫こぶインクで聖書の言葉を写本する」グループがあります．これは酒本絵梨子先生の発案で始まり，7月から毎週土曜に有志学生が制作活動を行ってきました．酒本先生のお母様のご指導のもと8人が作品を展示します．小松恵美さん（1年）は語ります．「昔と同じ道具で聖書を書いたのです．虫こぶインクを使うと紙をなめさなくともなめしたのと同じ状態になるし，字が消えにくいのですよ」
虫こぶインクを用いた写本と小松さん
人間形成と教育ゼミの4年生は初等部のJIYUアフタースクールについて卒業研究を行っていますが，メンバーのうち才川天平くん，中筋文子さん，西尾衣澄さんは子どもたちと一緒に木を使って制作した看板を展示します．
人間形成と教育ゼミ：子どもたちと作った木の看板
学部棟の2階では，数理モデルとインターフェイスゼミの3～4年生が「Process」を見せます．例えば，3年の池田駿介くんと鈴木信くんは昨年卒業した学生の卒業研究を引継ぎ，自由学園植林地（名栗・海山）の間伐材で椅子を制作しています．今回は10脚ほど美術工芸教育発表会のために制作しました．数理チームはグラフ理論を用いた幾何学的造形美を演出します．
数理モデルとインターフェイスゼミ：Process
記念講堂の音楽室を会場として行われる「アーカイブズの展示 : 自由学園の美術工芸教育の歴史について」は，数理モデルとインターフェイスゼミの情報チームが担当しています．ゼミ長の岸本航平くん（4年）は次のように語ります．「大がかりな作業ですが，順調に進んでいます．普通のパネルはいっさい使わない展示になっています．高さ3.5メートル全長15メートルに及ぶ年表はとくに自信作です．ぜひご覧ください．これまでの作業を通じて，自由学園の美術教育にたずさわってくださった先生方の言葉にはっとさせられました．私はとくに山室光子先生がミスタ羽仁の言葉を引用されて語っておられる言葉が好きです」
アーカイブズ展示の設営と岸本くん
文：遠藤敏喜（学部教師）
写真：遠藤敏喜（学部教師）・高橋礼穂（学部4年）
