4年課程卒業研究と2年課程卒業勉強の第2回中間報告会/学生生活・学外活動 - 自由学園 最高学部(大学部)/ 最先端の大学教育

4年課程卒業研究と2年課程卒業勉強の第2回中間報告会/学生生活・学外活動 - 最先端の大学教育【自由学園 最高学部(大学部)】

学生生活・学外活動

4年課程卒業研究と2年課程卒業勉強の第2回中間報告会

2012年10月2日

第2回中間報告会ポスター10月2日(火)の体操会練習後,11時から昼食までの時間帯に,4年課程卒業研究と2年課程卒業勉強の第2回中間報告会を学部棟2階の4教室を使って行った.

第1回目の中間報告会では研究動機や研究目的などを短く紹介したが(近況報告「2年課程の卒業勉強と4年課程の卒業研究はじまる」参照),今回は研究の進捗状況を詳しく述べた.

体操会の練習の合間であったが,多くの学部生が出席した.先生方も多くいらっしゃり,質疑応答も活発であった.

それぞれのグループの研究タイトルと概要は次の通りである(予稿集より抜粋,一部改).

■2A教室
数理モデルとインターフェイスゼミ:情報グループ
「合理的・高品質なプロジェクトマネジメント手法の開発」
研究概要:計画運営の効率化を目的としたプロジェクトマネジメント(以後PM)の手法開発に取り組んでいる.既存のPM ガイドライン(PMBOK 等)を参照し,PM の体系における知識領域について,研究グループメンバーで割り振り,調査を行ってきた.情報グループは,「創立90 周年記念 自由学園美術工芸教育発表会」におけるアーカイブズの展示計画を担当しているが,この活動を本研究のケーススタディの場と位置づける.実際のプロジェクト運営を通して,その活動中に発生した諸問題をメンバー間で調査・検討し,PM ガイドライン等の調査結果と合わせ,原因を究明することを目標とする.

世界と日本の文化ゼミ
「現代日本社会における若者の求めるリーダー像」
研究概要:現代日本社会における若者の求めるリーダーとはいかなるものか,文献調査・個人研究から考察する.導きだされたリーダー像をもとに,現代社会に生きる若者たちが持つ,価値規範やテーゼに縛られない潜在意識を導きだす.

■2B教室
自然の理解と創造ゼミ
「自然と人のかかわり―武蔵野の動植物について―」
研究概要:本研究では,武蔵野の動植物について,有用昆虫であるニホンミツバチとセイヨウミツバチ,および訪花植物とその花粉,栽培種のコムギ,緑地の木本および野生草本植物を取り上げている.それらの分布・生育状況の観察調査と飼育栽培,および生物資源としての利用を試みる.これらを通して自然と人のかかわりを考察する.調査地域は,武蔵野台地のほぼ中央に位置する東久留米市を主とする.

環境と経済・社会ゼミ
「地域と学園の持続可能な関係つくりに向けた行動変容に関する研究―向山緑地としののめ寮の取り組みを通して―」
研究概要:自由学園(以下,学園という)は学生の活動を中心に地域との関わりを大切にし,長年をかけて地域との関係を築いてきた.現在も自主研究や卒業研究を通して学外への活動を行っている.しかし,学生が主体となっていることから,学生が忙しくなってしまうと活動がおろそかになることや,在籍期間だけでは定着した活動にならないなど,持続的な活動に至らないという問題点を抱えている.学園と地域に着目した卒業研究はいくつかあるが,先行研究では学園の「働きかけ」について定義し,働きかけが生徒・学生の人間教育にとって重要な役割を担っていること,学園の持続的発展にとっても大事な要素であることを明らかにした.しかし,この研究の視座は学園のみに固定されている.なぜならば,「働きかけ」そのものが学園の教育,実学を体現している,という立場から教育という目的が優先されているからである.そのため,活動自体が持続せず,必ずしも学園と社会(地域)双方にとってのメリットをもたらさないという問題がある.そこで本研究では,学園と地域を対等な立場と置く視座に立ち,持続的な取り組みを可能とするための必要な要素・構造を,ソーシャル・マーケティングの視点からケースを通して抽出し,取り組みに資することを目的とする.

■数理モデルとインターフェイスゼミ:数理グループ
「データが織りなす新しい数学」
研究概要:データサイエンスとグラフ理論の2つの分野を対象に研究を行っている.データサイエンスにおいては那須気象資料を用いた統計解析,グラフ理論においてはバルネット予想という未解決問題の解決に取り組んでいる.今回の報告会では那須気象資料を用いた統計解析についてのみ言及する.

■2C教室
世界と日本の文化ゼミ
「Amenity」
研究概要:人々にとってのamenity とは何か.本研究では,言葉遊び,漫才,漫画,高齢者施設の4つの視点からそれぞれのamenity を考察する.市川,鈴木,脇の研究から人々が生活を楽しむために必要な要因を明確にし,田結荘の研究から高齢者の生活におけるamenity の明確化を図る.最終的に,今までにない高齢者施設を提示する.

ライフスタイルゼミ
「自由学園のブランドイメージにふさわしいオリジナル商品開発とマーケティング」
研究概要:自由学園のブランドイメージを確立する.

■2D教室
2年課程卒業勉強
「東日本大震災を考える― 3.11から1年,今後の支援と展望―」
研究概要:平成23年東北地方太平洋沖地震から1年半が過ぎた今,少しずつ復興が進み,被災地のニーズも変化してきている.それに対して,最高学部は2011年4月から現在までの間,3団体(主に盛岡友の会)が連携して行ってきた支援活動に様々な形で参加してきた.学園として今後も支援活動を継続して行うことは決定されているが,生徒・ 学生が現在の現地のニーズを知り,それに合った支援活動を主体的に提案・実行することが望まれる.私たちは,1学期には3.11の地震と津波のメカニズムについて学び,3団体によって行われてきた支援活動の概要を調べた.夏休みには各種資料から三団体による支援活動について調査・まとめを行うこと,他大学の学生が参加している震災支援ボランティアに参加すること,福島サマースクールの活動に参加することなどに各自が取り組んだ.8月24日から28日には全員で第15陣学部震災支援活動(岩手県釜石市,大槌町)に参加し,その後の3日間をかけて宮城県 仙台市,石巻市等を訪れ,それぞれの場所で聞き取り調査を行った.メディア等の情報だけではわからない,被災地の現状や被災された方々の思いや願いを知ることは,今後の支援活動を考える上で非常に参考となるものであった.今回の報告では,この現地調査から得た知見を考察し,主に現地での問題点と支援活動の基盤となる現地との関係性を取り上げる.

人間形成と教育ゼミ
「JIYU アフタースクールの在り方の考察」
研究概要:今年度,私たちはJIYU アフタースクールの在り方についての考察をテーマに研究を進めている.JIYUアフタースクールは,自由学園初等部の児童を対象に放課後の取り組みをしている.私たちは昨年12月のトライアルからJIYU アフタースクールに実際にスタッフとして関わっていくなかで,設備の不足や,初等部と運営に携わっているNPO法人との理念の相違点などを感じている.本研究の目的は,私たちが感じた課題を様々な角度からアプローチをし,より良いJIYU アフタースクールの在り方を提案することである.私たちは,それぞれ関心を持った5つのテーマに分かれ,研究を進めてきた.今回は各グループの研究を発表する.

2012年度第2回中間報告会

第3回中間報告会は,4年課程が12月18日(火)に,2年課程が12月22日(土)に行う予定で,最終的な報告会は3月2日(土)に行う予定である.今回は全体的に個人研究の報告が多かったが,今後は,個人の研究を進めることはもちろん,グループとしての結論も出していかなくてはいけない.乗り越えないといけない壁も多いはずであるが,グループで協力して乗り越えてほしい.

文・写真:遠藤敏喜(学部教師)
ポスター制作:続木 光(学部4年)

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