JIYUGAKUEN 100th ANNIVERSARY

ごあいさつ

理事長 村山 順吉

「求めよ、さらば与えられん」*1

自由学園が創立100周年を目前にしたまさにその時、世界中で新型コロナウイルスの感染が起き、あたりまえだった日常が覆されてしまいました。しかし、自由学園において、この状況はただ一人の先生である主イエス・キリストから与えられた試練ではないか、と私は思うのです。私たちは日々の営みの基をどこに求めているのでしょうか。もし、自らの思いや作り上げてきたものにあるのなら、それが打ち砕かれるための大切なメッセージだと受け止めているのです。

私たちの前には、主から託された多くの子どもたちがいます。一人ひとりに神がタラントとして授けた、大人の想像する範囲をはるかに超えて伸びようとする力が潜んでいます。その力に畏敬の念を抱きつつ、子どもたちの成長を最も相応しい在り方で支えようと改めて全身全霊で求めたときに、自由学園の新たに進むべき道は希望とともに必ず指し示されると私は確信しています。

自由学園は今、新たな道と希望の実現のために学校改革に全力で取り組んでいます。ICT *2環境の充実や校舎の整備のほか、具体的な必要にも迫られています。皆様にはどうかご寄付をもってお力添えをいただきたく、どうぞよろしくお願い申し上げます。

* 1 新約聖書マタイによる福音書より
* 2 ICT:通信技術を活用したコミュニケーション

2020年9月15日 理事長 村山順吉

初等部と日時計

学園長 更科 幸一

「希望の学校に」

自由学園が日本の、そして世界の教育の希望となる学校でありたい。私は心からそう願っています。
自由学園は100年以上前に、教育を通じてより良い社会をつくるという理念を掲げて創立された学校です。
それから一世紀、我々はいまも困難を抱える社会に生きています。むしろ、グローバル経済と新自由主義により差別や分断が強まり、社会的に弱い立場の人はさらに虐げられ、人間中心の世界で、地球は悲鳴をあげています。そしてそうした人間の世界は、個別化、孤立化が進み、社会という構造を保てなくなってきています。
クリスチャンである創立者羽仁もと子は、自由学園を「神の国の公器」と言い表しました。自由学園の変わらぬ使命は、地の塩世の光として、より良い社会をつくることです。より良い社会とは何か。私が考えうる限りのそれは、キリスト教の精神を土台として、人と人が緩やかにつながり合い、本来人間のなかにある相互扶助の精神により、愛し助け合うことが当たり前にできる社会です。また地球上のすべての動植物に対してやさしい生き方を選ぶことができる社会です。その、いわば当たり前の社会を本気になって創造し、学びを通じて社会に働きかけていく場が自由学園です。
それは決して簡単ではありません。きれいごとと見られることも1回や2回ではないでしょう。それでも私が希望を持てるのは、学園に属する学生・生徒・児童・幼児の一人ひとりのなかに、確かにその芽があることを感じるからに他なりません。そしてまた学園に属する教員、職員、学園に連なる卒業生や保護者の方々お一人おひとりが力を合わせて共に歩んでくださることを信じてやまないからでもあります。
具体的に、推進力を持って、ただし表面的な解決や目先の成果にとらわれず、理想の実現のために尽力してまいります。どうぞこれからも変わらず、自由学園を応援していただきたくお願い申し上げます。
2024年4月1日 学園長 更科幸一

対話のワークショップ
校舎