営業の枠を超えた価値のある仕事を

営業の枠を超えた
価値のある仕事を

鈴木 仰
Aogu SUZUKI

東芝デジタルソリューションズ

男子部 71 回生

2021年1月21日談:オンライン

東芝デジタルソリューションズ本社にて

お客様の課題解決をサポートする仕事

 東芝デジタルソリューションズに入社して、この4月で7年目を迎えます。この会社は、IT(デジタル)を活用してお客様の困りごとを解決すること(ソリューション)を事業としており、その中で私は精密機器業界を中心とした法人営業を担当しています。

 

営業といっても、売るものが決まっているわけではなく、お客様の関心や課題を出発点に、技術部門のメンバーと協力し、自社として提供できる価値を検討、提案することが日々の活動です。主に給与計算等の人事システムや顧客対応履歴を管理するコールセンターの仕組みなど、企業運営を行う中で必要となる業務システムを提供しています。さらにシステムを導入した後のサポート(障害が発生した後の対応等も含む)や、お客様の期待するソリューションや体制が自社内にない場合に、社内を動かしていくことも営業の役割です。実はこちらの方がけっこう大変だったりします。営業職に最も求められることは、関係者との調整を進め、自社が提供できる最大限の価値をお客様に届けること、それを通して自社の売上・利益を最大化することです。

 

最近、新規のお客様である医薬品メーカー様に調達システムの更改を提案し受注しましたが、その金額は1億円規模。このように新規のシステム導入には、1,000万円~1億円(以上)の費用がかかることがあります。これは個人の買い物だったら家の購入など、人生をかけた買い物になる金額ですよね。このような場合、お客様からすれば、会社としてどのようなシステムをどの会社に委託するのかを決定するわけですから、客観的な根拠が必要となります。その選定基準はコストや要求事項の実現性など様々ですが、その会社を信頼できるかももちろん大切です。そして会社を信頼してもらうためには、私自身がお客様に信頼されることが肝要であり、自社の提案の不足部分や期待を正直にお話してくださった時には、とくにやりがいを感じます。

お客さまの前でプレゼンテーションをする(本人提供)

仕事を自己実現の場の一つにする

 日々の仕事をする上で意識していることは、社内のメンバー、お客様双方から、「この人と一緒に仕事がしたい」と思っていただけるような働き方をすることです。そのためには、相手の想いを汲み取ること、自由学園の寮歌の精神(君は川流を汲め、我は薪を拾わん)のように大変な役割を自ら引き受けること、営業職の役割にとどまらず、技術部門の立場を理解しサポートすることが大切であり、こんなところにも自由学園での生活が仕事に活かされていると感じています。

 

入社時に指導をしてくれた先輩は、人を巻き込む力があり、その人が動くと、同じ目標に向かって仲間がどんどん増えていきました。自社とお客様が一体となってできることを、さらにその先のお客様にまで届けていこうという「共創」を先駆けて取り組んでいた方で、それが先輩にとっての自己実現だそうです。大きな会社の中のひとつの役割として仕事をこなすのではなく、自己実現の場のひとつが日々の業務となっている、私もそのような働き方をしたいとあこがれの念を抱いています。

 

私自身、入社1、2年目までは目の前の仕事で精一杯。3、4年目になると、概ね仕事内容が分かってきたものの、大きな会社で仕事をする中で、この仕事は自分にしかできないことなのか、他の人がする仕事と何が変わるのか、と思うこともありました。しかし、入社から6年ほど経ち、誰がその仕事を担当するかによって結果が変わること、自分がこの仕事、役割を担う意味があると少しずつ感じるようになっていきました。

ブラインドサッカーのチームに所属、キーパーをしている(提供:日本ブラインドサッカー協会)

自分自身を「お客様にとっての価値」に

 そのような中、会社の制度を通して、自分自身は会社の一員ではあるものの、自分がその仕事に関わる意味や価値をつくり、主体的な姿勢に変えていくためにはどうしたらよいか、今後のキャリアを考える機会がありました。

 

これまでの仕事を振り返ったとき、お客様に価値を届けたくても社内のリソースでは期待に応えることができないもどかしさ、そして、従来の営業職の役割を越えた活動へのやりがい、この2つが私の中で大きな軸であることに気づきました。営業職には、技術職のように「自分にはこの技術があり、これができます」というような明確なものがありません。キャリアビジョンを考えたとき、具体的な目標を描くことが難しかったため、自分の強みや自分らしさを活かしていこうと、まずは中小企業診断士の資格取得を目指すことにしました。2年計画で取り組んでいますが、企業経営に必要な知識、マーケティング戦略等を横断的に学べるため、お客様のニーズに寄り添う今の仕事にも役立つものだと思っています。

 

お客様の課題解決に向けて、実際にソリューションを形にする技術部門とお客様を「つなぎ、届けること」にとどまらず、今後は、さらなる経営戦略に関する知識やプロジェクトを推進するスキルを身につけることで、単なる営業ではなく、自分自身が「お客様にとっての価値」となれるよう努力していきたいと思っています。

「自分自身がお客様にとっての価値となれるよう学び続けたい」

鈴木 仰(すずき あおぐ)

1993年生まれ。初等部から最高学部までを自由学園で過ごす。在学中はサッカー部で活躍。卒業後もOBによる社会人チームに参加するほか、ブラインドサッカーのチームにも所属。東芝デジタルソリューションズ株式会社で法人営業担当として奮闘中。